小説  ねじまき鳥クロニクル。

ねじまき鳥クロニクル〈第2部〉予言する鳥編 (新潮文庫)

ねじまき鳥クロニクル〈第2部〉予言する鳥編 (新潮文庫)

まぁ言ってみれば村上春樹ドグラマグラ。序盤中盤はいつもの春樹スタイルなのに、後半からなんだかミステリ調になっていく。

あー、なんか調子悪い。感想はこれだけで良いや。




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「最近、ツいてないツいてないとおっしゃってますね。何かあったのですか?」
「ずるずると連鎖式に悪いことって起こるもんだなぁと思ってな。一日の間に、犬に追いかけられて財布を落としてテストで悪い点を取るなんてそうそうねぇだろ?」
「ノビタ君みたいです」
「見てる分にはいいんだけどな。実際に身に起こると笑えねぇよ」
「では一つ、面白い考え方をお教えしましょう。私の姉さんが言っていたことなのですが。
 いわゆるバイオリズムというものがありますよね? 体の健康や運勢の好調不調は交互に来る、というアレです。三角関数のsin、正弦波形の形をしたやつです」
「分からん。誰でも数学が出来ると思うな」
「教科書で復習してください。
 でですね、考え方のコツは、座標にポチを打って線を繋いでいく、とするのでは無く、
 座標そのものを動かして、線を繋いでいくとするのです。つまり、起こった現象はこの座標系の中ではどの位置にポチを打つべきなのかと考えずに、
「ここに打ちたい」
 という場所にポチを打つようにするのです。つまり、ぶっちゃけて言ってしまえば、何が起こってもこれは良い兆候なのだと考えるということにほかならないのですが」
「…………」
「まぁつまらないでしょうし理解しにくいと思いますが、後で反復したら少しは分かると思います。
 そういう考えはしにくいという場合は、その座標系の時間軸をとても長い軸として取ることをお勧めします。単位時間を一年くらいにおいてみてはどうでしょう? やってみるとわかると思いますが、たいがいの人間は上向きになっていることは間違いありませんね。これは私が保障します。
 どうです? こういう考え方は素敵でしょう?」
「なんだか煙に巻かれたような気がするけどな」
「そりゃそうです。そういう風に話しましたから」
「……そーかよ」