小説 ムシウタ

ムシウタ〈01〉夢みる蛍 (角川スニーカー文庫)

ムシウタ〈01〉夢みる蛍 (角川スニーカー文庫)

なんか小説読むのも感想書くのも久しぶりな気がする。

一応、ネタバレありますよ、と。これから読む予定がある人は引き返してください。まぁ、ネタバレのある感想を書くのは主義ではないのですが結構昔の本だから、ということで一つ。


日本中を席巻する”虫”という存在の噂が流れる現代日本が舞台。虫に憑かれると、宿主の夢を食うかわりに特殊能力を授けれてくれるが、その虫を破壊されると廃人化してしまうという設定。
読んだ第一印象はかなりレトロなライトノベル。基本に忠実でお約束がたくさん。MF文庫jSD文庫が台頭している現在、こういうオーソドックスなライトノベルはなかなかお目にかかれない。

冒頭では、口調の優しい普通の少年が不思議な雰囲気を持った少女と出会うことになる。だがその少女は号指定の”ふゆほたる”という強力な虫憑きで、数年前に自らの虫を破壊されて廃人化していたところをなんらかの方法で復活を遂げたという背景を持つ。
序盤から、何度も何度も断片だけ挿入される「昔の話」がかなり鬱陶しい。一部だけ見せてそのコアを謎として残しリーダビリティに変えているのだろうけれど、その手法がこなれていなくてフラストレーションだけが溜まる感じ。
また、同時期、ある強力な虫憑きが敵対する組織との抗争を展開していた。その虫憑きを”かっこう”といい、謎めいた容貌と乱暴な口ぶりのキャラクタである。彼は彼でまた過去を背負っているような描写が多く、”ふゆほたる”という少女を廃人にしたのは彼なのであるが、その彼こそが冒頭で少女とであった普通の少年の正体なのである。少年は自らが廃人化させた少女に気づくことなく接近してしまい恋におちて葛藤することになる。
変身ヒーローと不幸なヒロイン。
恋のライバルと巨大なラスボス。
ただ、土師とウサギ耳の少女の、2キャラクタだけは良かったと思いました。その信念とかがちょっととがってて良かった。