深夜二時から朝十時。八時間。
デスノートの無いジャンプ。今週は全体的に詰まらない内容だった。これほど印象に残らない号も珍しい。あ、ハンターは良かったです。来週休みだったけど。冨樫義博の群像劇は非常に巧み。それに長期連載につき物の「物語の破綻」というものが一切無い。ストーリーテリングも緻密で、一見行きあたりばったりのような展開であっても、必ず感嘆のため息をもらしてしまうほど見事な着地を行う(例、ヨークシンシティの旅団編)。
彼の手法を言語化するには考察不足でありますが、やはり、氏の作品において目立つのは、物語の微妙な逸脱でしょう。これには二種類あり、「時間稼ぎ」のための逸脱と、「制御し切れない」逸脱があります。
まあ、話半分で聞いてください。適当なことを言ってますんで。
この「時間稼ぎ」というのは、先週と先々週で行われたゴンと蝙蝠、梟戦が例としてあげることが出来るでしょう。この一戦は物語の中で非常に浮いております。いっそカットしてもなんの問題もない場所です。今後の展開の伏線になっているわけでもないし。おそらく、バトル描写もしないと読者に飽きられる、という面も多分にあると思いますが、これこそが時間稼ぎの回であり、微妙な逸脱のひとつなのです。
今週のハンタはデスノート並みの分量と内容の濃さでした。デスノートでは原作者と作画が別々にいるのでその負担も軽減されるのですが、冨樫義博氏は一人で物語を考えて漫画をかかなくてはなりません(彼は文字通り一人です。アシはとっていないらしいし。奥さんがアシ代わりか?)。だから、今週のネームを考えるために先週と先々週の二週を使って時間を稼いでいたわけです。完全にあてずっぽうですが、先二週分のネームを練りながら、今週分を平行して練っていたのではないかと思われます。
ただこういう時間の稼ぎ方は、その間のネームがおざなりになる可能性があり、かの冨樫義博とてその事態は避けることが出来なかったと見えます。派手ではあるが密度の薄い内容。しかしそれでも十分に読めるものを提供するあたりはすでに巨匠。ジャンプ漫画の有象無象の漫画ども(言い過ぎ)と比べると十分に平均値を保っています。これは鳥山明も行っている手法であり、長期漫画になると避けては通れないものらしいです。
そしてもうひとつが「御しきれない」逸脱なのですが。。。まあこれはいいか。どうということもない、彼はカッチリと「始点」と「終点」を定めてネームを練るタイプの作家であり、その間に、彼の予測していない事態が起こっている、と思います(断言出来ず)。それは彼の描くキャラクタがひとりでに歩いているように見えるほどのキャラクタ力がもたらしたものである、と、こういうことです。
そんな僕が認める少年漫画は「ネギま!」と「ハンター」と「デスノ」です。どうも尖った漫画が好きなようだ。既存の手法を用いても傑作と呼べるものは星の数ほどありますが、やはり上に挙げた漫画には「新しさ」を感じますね。そういうのがぼくは好きです。「ナルト」なんかは従来の手法を用いて十分な面白さを提供していますが、やはり目新しさには欠ける、という印象ですな。