夜中の出来事

布団の中で腕に違和感を感じた。寝ぼけた頭で腕の状態を確かめるとあるはずの腕が無かった。いまだまどろみのなかにあった頭が一気に覚醒して大急ぎで回転椅子に座る。
幸い腕は無くなってなかった。血のめぐりが悪くなってただけだった。ふと浮かんだ「なんで今回転椅子に座ってるんだろう? しかも急いで」という内なる声に、多分、覚醒したつもりで寝ぼけてたんだろうと答えた。まあぼくが回転椅子に座った経緯なんてのはどうでもいい。なんで回転椅子なのかという疑問もどうでもいい。なんで急いだのかなんて最もどうでもいい。これなら直ぐに戻るだろうと思って、一分、二分。そこで更なる違和感に気付く。いつもよりも痺れてる範囲が広い? 肩まで? 多分それは寝たときの体勢の問題。もう二度と自分で自分に肘枕なんてしないと心に誓う。それは端から見たらよほど奇妙だと思うのだ。なんて考えていても痺れは取れない。回転椅子に座っているのに。いや回転椅子は関係がない。過剰な投影を行った衛宮士郎になった気分。なんて考えていても肩から先が動かない。これはもしや壊死? 壊死してる? 血が通わない時間が長すぎたから? なぜか恐怖は生まれない。色々と不便ではあるなー、などと某と考える。薄い危機感。などと考えていたらいつの間にか痺れが取れていたので布団に潜って眠った。夢は見たような見なかったような。